#185「海をきれいにするために真空がマイクロチップを測定するのだ」

真空にヒントあり

プラスチックが地球環境を汚染している、ということが話題になってから随分と時間が経ちました。当初は釣り糸が渡り鳥の身体に巻き付いて死んでしまったり、ウミガメがクラゲと間違えてビニール袋を飲み込んだりと言った被害が報告されていました。このような大きなプラスチックも環境破壊の大きな要因になっているのですが、最近はもっと小さなマイクロプラスチックが話題になっています。

例えば、ペットボトルやビニール袋が適性に処理されずに海洋に流れ着いた場合。プラスチックは劣化し細かく粉砕され海の中に漂います。実際に調査された結果、人間が住む近海から獲れた魚は身体の中に5mm以下のマイクロプラスチックを取り込んでいたそうです。しかし、マイクロプラスチックの恐ろしいのは目に見えないほどのサイズになって空中を漂ったり、海の中に溶け込んだりしているところです。実際に海から獲られる食塩の中からもマイクロプラスチックが発見されていて、人体への影響が強く懸念されています。これらを取り除くことは至難の業で、プラスチックを自然界に出さないことが先決だといわれているのは、そのためです。

さらに自然界におけるマイクロプラスチックによる汚染状況を正確に把握する必要があります。調査分析に用いられるのはEPMA(電子線マイクロアナライザ)、XPS(X線光電子分析装置)、EDX(エネルギー分散蛍光X線分析装置)などの測定装置ですが、これらのほとんどが真空環境下で特定を行います。つまり、真空があって初めて正確な汚染状況を知ることができ、適正な対処を検討することが出来るのです。

真空技術によって、そして、地球環境を享受しているすべての人々の努力によって、私たちの住む地球がより過ごしやすい環境になっていくことを願います。

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