#186「豊かな暮らしと地球環境の保護、そのバランスがむずかしい」

真空にヒントあり

毎日のように地球温暖化による環境の変化が伝えられています。ゲリラ豪雨も地球温暖化が原因だというし、南極の氷が溶け始めているのも地球温暖化のためだと聞きます。そして、そんな地球温暖化のいちばんの理由がCO2(二酸化炭素)だそうです。でも、ちょっと待ってください。学校の授業で習いましたよね。私たち人間は酸素を吸って、二酸化炭素を吐き出しているって。ということは、私たち自身が地球環境を守ろうと言いつつ、地球環境を壊しているということなのでしょうか。

実は、それはある意味正しい理解です。地球上に人間が現れた当初は数も少ないですし、今よりももっと森林が数多く茂っていたはず。つまり、人間や他の生き物がいくら二酸化炭素を吐き出したところで、森林植物が酸素を作ってくれていて、そのバランスが取れていたということになります。いまは、バランスが狂ってしまって酸素よりも二酸化炭素の排出量が多くなってしまっている状況なのです。

他にもガソリンなどの化石燃料の使用や豊かな生活のためのエネルギー消費によって二酸化炭素の排出量は急速に増えてきました。しかし、今すぐにでもこのバランスを元に戻していかなくては地球環境の崩壊はすぐ目の前にきています。でも、私たちは自分の豊かな生活を手放してまで二酸化炭素の排出量を減らせるでしょうか。おそらくそれは無理な話。そこで、二酸化炭素を消費するエネルギーの開発や、できる限り二酸化炭素を出さないための技術開発が進められています。人々の叡智を結集して、どこまで豊かな暮らしと地球環境保全のバランスを取り戻せるかの戦いが始まっているのかもしれません。

もちろん、そんな取り組みのためには二酸化炭素を正確に検出できる技術が必要です。なかでも最も使用されているのはNDIR式(Non Dispersive InfraRed)。センサに多数の出入口を設けて、その光路を圧力ゼロ、つまり真空状態にすると正確な数値が得られます。ただし、現実的には絶対圧力ゼロの状態は存在しないので、窒素ガスを用いてCO2に対して真空と同じ、ゼロガス状態を作るのです。その状態を作ってはじめてセンサ内に二酸化炭素を導き、測定が開始されます。つまり、真空が地球環境を守るための第一歩を担っているということなのです。

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