#190「飛行機に使われている樹脂は真空技術でできている」

真空にヒントあり

飛行機に対応した軽量樹脂レジンは、正式には炭素繊維強化樹脂(CFRP)と呼ばれるもので、この樹脂はボートやゴルフクラブ、釣り竿や風力発電の羽根などに幅広く使われています。軽くて強い素材が必要とされるところに最適な樹脂と言えるでしょう。

網目状に編んだシートに樹脂を塗り、生乾きのうちに数十枚を重ねたものを基本形として使用します。これを用途によってさらに重ねたり造形するわけですが、その前処理として登場するのが真空技術。オートクレーブという加熱加圧炉に入れるのですが、その際、成型品をバックに入れ中を真空にします。こうすることで、気泡などが残らないようにするのです。これが加圧方式。

この方法でもCFRPの成型はできるのですが、圧力容器などの設備費が高く付くというデメリットがありました。そこで2008年頃に登場したのが真空レジン成形法です。次期、国産ジェット機の開発に向けて、軽量なCFRPを開発するために考えられた方式。この方式では、加圧部はなく真空に排気するバキュームバッグだけで済むのでコストが大きく抑えることができます。

CFRPは当初、スポーツ用品や人工衛星などの一部の用途に限られていたそうですが、最近ではその優れた特性を活かして、幅広い分野で使用されています。軽くて強い、変形しない、腐らない、熱伝導にすぐれ電気を通す。そんな特性から、航空機やレーシングカー、建築や土木、医療などの分野でも活用されるようになりました。

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