#196「高地トレーニングは真空トレーニング!」

真空にヒントあり

冬はマラソンや駅伝の季節ですね。年々スピードがあがり、記録がどんどん塗り替えられている陸上競技の世界。その中で特に注目されているのが高地トレーニングです。アメリカのボルダーやスイスのサンモリッツ、中国の昆明など、標高1500メートルを越える高地へわざわざ足を運んでトレーニングをするトップアスリートがあとを絶ちません。

彼らが高地トレーニングをするのにはどんな理由があるのでしょう。それは高地ならではのトレーニング環境。低圧、低酸素、低温という条件が揃うことで、人は酸素を取り込みにくくなります。そして、そんな環境のなかで酸素濃度を確保しようと、赤血球数やヘモグロビン濃度を増加させるのです。この状態で平地に戻ると、酸素の運搬能力や筋肉の酸素消費能力がアップし、パフォーマンスが向上します。また、体内に摂取できる酸素量が高まり、全身の持久力と筋力の持久力もアップすると言われています。

さて、ここまで長々と高地トレーニングのメリットをご紹介してきたのにはわけがあります。もうおわかりですね。高地トレーニングはつまり減圧下トレーニング。ある意味、真空状態でトレーニングをして肉体のパフォーマンスを向上させるというものなのです。

これから、駅伝やマラソン競技を観戦するときには、その感動的な躍動感の背景に真空があるんだと思ってください。(参考:日本工業規格JIS-Z 8126-1では“真空とは大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態”と定義されています。)

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