#214「真空を発見したのは誰?!」

真空にヒントあり

真空を話題にしているこのコラム。でも、真空というのはなかなか説明しにくいものです。なにしろ目に見えないものなので、頭ではわかっても具体的に理解しづらいですよね。それは、ローマ時代の人たちも同じでした。古代ギリシャ時代から「真空は存在するのか」という議論はされていたそうです。しかし、アリストテレスは「自然は真空を嫌う」と主張し、空間は常に何かによって満たされていて、真空は存在しないのだと考えていました。

でも、いまの私たちは真空というものを知っています。そして、知っているからこそ真空技術を駆使して様々な産業を支えてくることができました。ということは、誰かが真空を発見した、ということですよね。そう、真空にも発見者がいるのです。その人の名は、エヴァンジェリスタ・トリチェリ。イタリアの物理学者です。イタリア北部にあるファエンツァで生まれたトリチェリが生きたのは、ガリレオが地動説を唱え、ひどい非難を受けていた時代。しかし、科学者たちは真実を追求する手を決して休めることはありませんでした。

特にトリチェリはガリレオの孫弟子にあたります。彼自身もガリレオと同じように世間の非難を恐れることなく信じた道を歩く人でした。当時、ローマには「何もない」状態に対して恐れを抱く人々もいたようです。そんな時代にトリチェリは『真空実験』をおこない真空を実証してしまったのです。

トリチェリの真空実験はこんな感じで行われました。長さ1mのガラス管と、水銀をいっぱいに入れた容器を準備します。次に、ガラス管に水銀を詰めて、容器に対して垂直に立てます。すると、水銀が流れ出すのですが、だいたい76cmのところで流出がとまるのです。そして、ガラス管の上部には空間ができます。この空間のことを現在では「トリチェリの真空」と呼んでいます。

この「トリチェリの真空」は後にフランスの物理学者パスカルによって証明されました。そして、トリチェリの名前は真空を発見した科学者として現在も語り継がれているのです。

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