第4回『 曲がって見える直球 』
常識や先入観を、頭の中からかき出すメディア。それがテーマですよね?
はい。そこを目指してつくっていきたいです。
でも実際、「常識をかき出す」って簡単じゃないですよね。
そこが難しいところですね。「こうやったら、かき出せる」という答えがあるわけじゃないので。
まあ、試行錯誤の連続になるとは思うんですけど。今考えているコンテンツについて、ちょっと教えてください。
はい。
まず、「真空にヒントあり」というコンテンツ。
たとえば、このマガジンの名前もそうですけど、みんな「水は100℃で沸騰する」と思い込んでるじゃないですか。
学校でそう習いますからね。
でも実際には、100℃で沸騰するとは限らないんですよ。現にエベレストの頂上では70℃で沸騰します。
単なる先入観に過ぎないと。
そうです。地球の、それも条件を満たしたときの常識にすぎない。そういう事ってたくさんあるじゃないですか。
ありますよね。
真空を通じて、そういう常識を疑っていきたいと思ってます。
なるほど。分かりました。では次に「非常識列伝」。これはどういうコンテンツですか?
「勤勉で真面目であること」はいい事だって、多くの人が思ってるじゃないですか?
まあ、一般的にはそうですよね。
でも人類の歴史って、かなり変人によってつくられてると思うんです。
変人?
その時代の常識に縛られない人。つまり、その時代の非常識人ってことですね。
それを紹介していくコーナー?
そうです。非常識人がつくった歴史物語を紹介して、非常識の価値を知ってもらいたい。
分かりました。で、一番わからないのが「マンガ禅問答」というコンテンツなんですけど。
(笑)やっぱり分かりませんか?
このメディア「一体、何がやりたいんだろう?」ってなりますよね。
ちょっとシュールな描き方をしてるんですけど、根本はシンプルなんですよ。
それはどのような?
これも、テーマは「自分のなかの常識を疑う」っていうこと。
そこは他のコンテンツと同じで、一貫しているわけですね。
はい。真面目なコンテンツだけでは面白くないので、ちょっと遊び心のあるコンテンツにしています。
答えがあるような、ないような、ちょっと分からない。
構造はシンプルで「常識をかかえている人物」と「疑っている人物」の対話になってます。
それが禅問答という形になっていると。
厳密には禅問答ではないんですけど「真空和尚」と「常識小坊主」という設定にしてます
真空和尚?
真空和尚から常識に対する「問いかけ」があって、小坊主は自分の中の知識から答えるんですけど、それが本当なのかと。
正解はあるんですか?
いや、正解は分かりません。読んだ方々に「自分の中の常識って本当なのかな」と疑問を持ってもらうことが目的です。
なるほど。じゃあ、答えを見つけることがゴールではない?
むしろ答えを否定することがゴールですね。なのでモヤモヤすると思います。
それでいいんだと。
はい。現代人は、すぐに答えを求める癖がついているので。あえてモヤモヤをゴールにしてます。
「ただふざけているだけじゃないか」と思われる気もするんですけど。
一度立ち止まってもらう。そこに価値があると思ってます。
すごく難しいですけど。「考えることを考える」とか「考えることを考えない」とか。
ややこしいですね(笑)
まあ、誰もやったことがないので。
そうですね。
頭の中の常識や知識をかき出したら、最後に何が起こるんでしょうね?
分かりません。でも真空ポンプでそれが出来たらすごく画期的ですよね。
本当に常識を超えちゃって「とんでもない事業」を社員さんが考えたり、「想定していない変人」が応募してきたりするかもしれないですよ。
まぁ、ある意味では望むところです(笑)
ホントですか?
僕らの本業である真空ポンプや真空装置の魅力を再発見する機会にもなりますし、そこから離れて、なんかこう突飛なことに挑戦したいっていう気持ちもあります。
私は実際に「真空キーホルダー」とか「真空コースター」とかもつくって欲しいです。
技術的には作れると思いますよ。
人間って、分かっていても、つい常識で考えちゃうじゃないですか。
はい。
そういうときに、気づくきっかけというか。
そうなってくれるといいですね。
それに真空を持ち歩くって、宇宙を持ち歩いているみたいで、なんかロマンがあるじゃないですか。
まぁ、本当にキーホルダーをつくるかもしれないし、このウェブマガジンをきっかけに新しいコミュニティができて、また違う発想が生まれるかもしれない。
何ができるかは、まだ未知数ってことですね?
ゴールが決まってたら、このメディア自体の意味がないので。
確かにそうですね。
何かが生まれるプロセスを、このウェブマガジンで見せられたらいいなと思います。
すごく楽しみですね。でも不安もあるでしょう?
もうここまで来たら、旅路を楽しもうかと。
達観してますね。
いや、そうじゃないんです。このウェブマガジンってすごく変化球に見えますよね?
はい。曲がりくねって見えます。
でもそんなことないと思うんですよ。実は心のどこかでみんな「何かおかしい」って感じてる。
その疑問に、正面からぶつかっているだけだと?
私の中で変化球を投げている気はないんです。
直球勝負をしている感じ?
はい。私にとっての直球勝負ですね。
~
メディア誕生ストーリー
第1回「 きっかけはキーホルダー? 」
第2回「水は70℃で沸騰する」
第3回「余計なものをかきだすメディア」
第4回「曲がって見える直球」※本記事