#137「恋人のもとに高速移動できる列車はどうですか?」

真空にヒントあり

あなたと恋人とのあいだに、なんのわだかまりも邪魔者もいないときにはコミュニケーションもスムーズですよね。同じように、物体を移動させるときに邪魔ものがなく摩擦がなければ、ものすごく高速にスムーズに移動することができます。ということで、考えられたのが真空チューブ列車。地下鉄のような管を作り、中を真空にすることで、摩擦力と空気抵抗をなくして小さなエネルギーで列車を移動しようというアイデアです。

摩擦をなくして輸送スピードとコストを下げるというアイデアは、現在日本で開発が進められているリニアモーターカーも同様です。そこに真空を使うというアイデアは実は古くからあり、イギリスでは1847年に実際に試験運転もされたのです。しかし、コストがかかりすぎたことで計画は頓挫。その他の国々でも計画されては先送りになるということが繰り返されました。

しかし、現在でもアメリカ、韓国、中国では開発が続けられていて、試験が繰り返されています。アメリカでは時速310キロを記録したと伝えられ、韓国では最高速度1000キロの亜音速カプセルトレインを開発中だと発表しています。1800年代のイギリスが実験をした頃よりも、コンピュータによる制御技術などが格段にアップしていますから、真空チューブ列車も夢ではないはずです。

こういう話をすると、「そんなに急ぐ必要があるのか」とか「ネットの普及で、必ずしも人が移動しなくてもいいんじゃないか」という反論が出てくるのですが、この真空チューブ列車が本当の意味で普及して、新幹線よりももっと安い料金で利用できるとしたらどうでしょう。再会を待ちかねている遠距離恋愛の恋人たちに「そんなに急ぐ必要があるのか」なんて野暮なことは言えないでしょう。真空は産業だけではなく、若者の恋にも貢献し続けるのかもしれません。

137「恋人のもとに高速移動できる列車はどうですか?」
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