#200「上を向いて歌い続けた天才シンガー」坂本九

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第200話

坂本九(1941〜1985)
全世界で1500万枚以上をセールスした歌手

1985年8月12日、日航機が群馬県の山中に墜落したというニュースによって日本中が哀しみに包まれました。乗客数542名中、生存者は4名。実に520名が亡くなるという大惨事となりました。帰省ラッシュと夕方の混雑する時間帯が重なったことで、亡くなった人の中には著名人も多く含まれていました。その一人が、歌手の坂本九でした。

坂本九は1941年に生まれ、子どもの頃から歌や芝居などの芸事に通じ、高校時代からアメリカのロカビリーに夢中になりました。在学中からバンドボーイとして芸能界に急接近。やがてロカビリー歌手として第3回日劇ウエスタンカーニバルに初出演して、新人賞を受賞したのです。

そんな坂本の人生が大きく変化したのは1960年。それまでのバンドの専属歌手からソロ歌手へと転向。『悲しき六十代』がヒットし、1961年にリリースした『上を向いて歩こう』は日本だけはなく海外でも大ヒットを記録しました。アメリカでは『SUKIYAKI』のタイトルでビルボード誌のヒットチャートで3週連続1位を獲得。日本の歌手が日本語で歌う歌がビルボードで1位を記録したのはいまだに『上を向いて歩こう』だけなのです。

この曲の大ヒットによって、坂本九の日本での歌手として確固たるポジションを得ました。彼が歌手として成功したのは、その明るい性格とジャズやシャンソン、歌舞伎や三味線などの芸事全般への興味を持ち続けたことがあげられるでしょう。兄の影響でたしなんでいたヨーデルの歌唱法が、ファルセットボイスとして『ステキなタイミング』などに生かされているといいます。

歌が大好きで、いろんな歌唱法を取り入れる好奇心旺盛な気質と明るく元気なキャラクターが知らず知らず、全米ナンバー1という功績を引き寄せたのかもしれません。彼の歌った名曲の数々はいまも若い世代に歌い継がれています。

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