#143「コップに水を入れて、まわりを真空にしたらどうなる?」

真空にヒントあり

さて、問題です。コップを用意して水を入れます。そして、コップ全体を覆うようなガラスのフタをして中を真空にしたら、さあ、どうなるでしょうか? 想像してみてください。「真空になるから、水が浮かび上がる」「真空になるだけで変化しない」いろんな想像が膨らみますね。では、答えをご紹介しましょう。

真空にすると、実はコップのなかの水が冷たいままブクブクと沸騰し始めるのです。水は真空の中では蒸発しやすい状態になります。そして、この沸騰は水が無くなるまで止まりません。やがて、沸騰が終わったコップの中を観察すると、そこには氷が出来ているのです。水は蒸発熱を奪われて温度が低くなり氷へと変化していました。

そう、水は真空になることで低い温度で沸騰してしまうのです。高い山に登って飯ごう炊さんでお米を炊こうとすると米が生煮えのまま出来上がってしまうのも、同じように空気圧が低い場所では水が低温で沸騰するからです。

また、蒸発熱を奪われて水が凍ってしまうという現象は、冬場に湖が氷結するのと同じです。前日が快晴で風もないなどの条件が整うと、放射冷却が強まり、湖面は蒸発熱を奪われます。コップの中の水が凍るのは、この現象を真空がさらに加速させるからなのです。

いつも見慣れた現象が、真空状態にするだけで、想像しなかったものに変化する。これからもそんな真空ならではの現象をご紹介していきたいと思います。

143「コップに水を入れて、まわりを真空にしたらどうなる?」
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