#247「消毒によって手術の成功率を高めた男」ジョゼフ・リスター

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝247話

ジョゼフ・リスター(1827〜−912)
イギリスの外科医

リスターは名もない外科医でした。そんなリスターが後世に名を残すことになったは、彼の「患者を救いたい」という行動でした。リスターは敬虔なクエーカー教徒で、どんなに堕落した患者であっても国王と同じ治療を行うことを自らに課していたそうです。だからこそ、せっかく手術を成功させても感染症で亡くなってしまう患者がいることが許せなかったのでしょう。

リスターの時代、まだ消毒という概念が確立されていませんでした。手術が成功しても、患者が死んでしまうのはそのためだったのです。リスターはその死因が細菌による感染だと確信し、手術の後に消毒することを実行しました。すると、明らかに死亡率が下がるのです。そこで、リスターは手術中に消毒液を部屋に撒いたりするなど、さまざまな実験を繰り返しました。そして、現在も行われている消毒法とほぼ同じ直接感染を封じる消毒方法を確立したのです。

傷口を消毒し、手を洗うという今では当たり前の手法も当時の医療業界に定着するまでには時間を要しました。しかし、リスターは自分ができることを淡々とこなし、最後は女王の手術を任されるまでに認められたのです。時には海をこえてアメリカの医療業界を説得に行くなど、生涯をかけて消毒法の普及に尽力しました。

そういえば口腔内の消毒をする消毒液の商品名もリスターから名付けられています。商品の開発者である科学者は、リスターの消毒の理論に基づいて消毒液を開発。そして、リスターのもとを訪れて「ぜひ、リスター博士の名前を商品名としてつけさせてほしい」と敬意をもって申し出たのだそうです。あまりの熱意にほだされたリスターはその申し出を受け入れることにしたそうです。その名前は口腔消毒液はいまも「リステリン」と呼ばれて使い続けられています。

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