#117「真空キッスで愛が高まる」

真空にヒントあり

1980年代に『真空キッス』という曲がリリースされたのをご存じですか? アポジー&ペリジーというアーティストが歌っていましたが、実は三宅裕司と戸川純の覆面ユニット。「キッスで窒息しそう」なんていう歌詞が刺激的でした。

若い男女が愛を育むのは、いつの時代でも初々しくて素晴らしいものです。ファーストキスに胸を高鳴らせていた頃が本当に懐かしい。おっと、自分の思い出に浸っていてはいけませんね。

そういえば、古い外国の映画を見ていると、キスシーンで「チュッ」という音が聞こえました。今どきの映画のように顔の形が変わってしまうほど互いの唇を押しつけ合うのではなく、軽くそっと口づけるだけで「チュッ」という音がする。とっても甘酸っぱい初恋を思い出してしまいそうですが、ということは初恋の思い出も真空が作り出しているのかもしれません。

口をすぼめて口の中の空気を吸って真空になったタイミングでそっと唇を開くと「チュッ」と音がするわけですから。真空もなかなか隅には置けませんね。これからはあの「チュッ」と音のするキスを「真空キッス」と命名しましょう。でも、誰かから習ったわけでもないのに、どうしてみんな同じように真空キッスをするのでしょうか。

もしかすると、若い男女に限らず、愛する人との距離を極限まで縮めたいという気持ちが、二人のあいだにごく自然に真空状態をつくりだすのかもしれませんね。様々な工業製品の製造や日々の暮らしの中でも、素晴らしい活躍をしてきた真空技術。そうか!甘い初恋の記憶にもしっかり寄り添っていたのですね。

117「真空キッスで愛が高まる」
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