#62 「勲章をもらうような仕事を断じてしなかった作曲家」エリック・サティ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第62話

エリック・サティ(1866年〜1925年)
今なお愛されるフランスの作曲家

『ジムノペディ』『グノシエンヌ』などで有名なフランスの作曲家、エリック・サティ。ドビュッシーとの交遊もあり、今なお並び称される存在です。サティの音楽は、彼自身が自分の作品を総称したと言われる『家具の音楽』という言葉に象徴されています。

『家具の音楽』とは、現代で言うイージーリスニングのようなイメージでしょうか。もともと酒場で演奏活動をしていたサティ。酒の邪魔にならないように、客の会話の邪魔にならないように演奏をしながら、自らの音楽の核となるものを掴んでいったのではないでしょうか。

そんなサティですから、音楽会の異端児、変わり者と呼ばれることも多かったと言います。しかし、変わり者だからこそいまだにサティの曲は強く印象づけられ、現代に至るまで愛され続けているのかもしれません。

変わっていると言えば、彼の曲に付けられたタイトルも変わっています。『犬のためのぷよぷよした前奏曲』『干からびた胎児』『でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい』などなど。これはもしかしたら、サティが変わり者だからという理由だけではなく、その根底に人と同じことをしたくないという気持ちと、王道をいくものへの反発心があったのかもしれませんね。

そう言えば、レジオン・ドヌール勲章を受章した友人のジャン・コクトーにサティはこんなことを言っています。「肝心なことは、レジオン・ドヌール勲章を拒絶することではないんだ。勲章など受けるような仕事をしないでいることが肝心なんだよ」と。

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