#171「四聖人の一人と数えられる儒教の始祖」孔子

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第171話

孔子(BC552年〜BC479年)
中国の思想家・哲学者

孔子は貧しい家庭に生まれ育ちました。3歳の時には父を亡くし、十代の終わりには母も亡くして孤児となりました。しかし、苦労しながらも勉学に励み、27歳の時に役人となり倉庫番、牛馬の世話かがりとなりました。後に若かった頃のことを聞かれた孔子は、「幼い頃が貧しかったので、私はつまらないことばかり出来るようになってしまった」と語ったそうです。

やがて孔子は下級の役人から、少しずつ出世して、政治の世界に関わるようになります。貧しい家の出身で、下級役人だった孔子が政治の世界にまで関われるようになったのは、彼の腰の低さがあったからだと言われています。わからないことが一つでもあれば、どんな人にでも頭を下げて教えを乞いました。そんな謙虚な人だったからこそ、彼を師と仰ぐ弟子たちが少しずつ増えていったのです。

政治の世界ではあまり成果が出なかった孔子。しかし、政治をやめて13年間という長きに渡った諸国遊説の旅の間に、様々な学びを得て、やがて私塾を開くようになりました。弟子は3000人にもなり、彼はこれまでに自分が身につけた知識を惜しみなく弟子たちに与え、弟子たちは孔子の死後、その言葉や行いをまとめ『論語』を作ったのです。

孔子が生きた時代は争いによって混乱し、政治が荒廃していました。そんな中で孔子は「徳治主義」を提唱します。厳罰や重い課税で人々をねじ伏せるのではなく、治める者の人徳や礼によって人民を導こうという政治の形です。これが儒教の教えの元となり、「仁・義・礼・智・信」という五つの徳を大切にする教えが中国のみならず日本を含めたアジア全域で支持されるようになったのです。

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