#8 「ユーモアと毒舌の哲人。」ソクラテス

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第8話

ソクラテス(BC469年頃〜BC399年頃)
古代ギリシアの哲学者

古代ギリシアのアテネに住んでいた哲学者ソクラテス。学問としての哲学には疎いという人でも、その名前くらいは聞いたことがあるはずです。そんなに有名なソクラテスですが、実は自分自身では著作活動をしていないのです。ソクラテスの思想がしっかりと伝えられているのは、プラトンなどの弟子がソクラテスについて書き記した書物があるからです。

ソクラテスの思想自体は、実はそれほど革新的なものではなかったと言います。「神のみぞ知る」というソクラテスの決まり文句からも分かるように「世の中は儚い。世界の根源は神のみぞ知るもので、人間は節度をもって生きるべきなのだ」という保守的なものだったそうです。

しかし、さすが後世に語り継がれる哲学者。保守的な思想を確かめようとする手段が非常識極まりなかったのです。彼はアテネの町を歩き回っては、賢者と言われた人に問答をけしかけたそうです。そして、ユーモアと毒舌を駆使して相手をやり込めると「あなたは自分には知らないことがあるということを知らないのだ。だから、私のほうが賢いんだ」と言い残して立ち去りました。

自分の考えを書き記すことよりも、人と会い、問答することを哲学だと考えたソクラテス。弟子たちが、そのやり取りをせっせと書き残したところをみると、とっても非常識だけれど愛すべき哲人であったことは間違いなさそうです。

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