#25 「薬箱をたたき割って常識を変えた戦場の天使」ナイチンゲール

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第25話

フローレンス・ナイチンゲール(1820年〜1910年)
近代看護教育の母と呼ばれたイギリスの看護婦

ナイチンゲールという名前は知っていても、実際にどんな人だったのかはあまり知られていないのではないでしょうか。

フローレンス・ナイチンゲールは、1820年にイギリスに生まれました。姉の看護を通して看護婦という仕事の重要性に気付き、ナイチンゲールは働き始めます。しかし、まだ当時のイギリスは「看護婦は病人の世話をする召使い」と見られていた時代。専門知識も必要としないと言われていたそうです。

転機が訪れたのは1854年のクリミア戦争でした。前線の負傷兵が悲惨な扱いを受けているという記事が世に出ると、看護婦への期待が高まり、ナイチンゲールも戦地へ従軍しました。戦地では医療品が欠乏し、全く足りない状況でした。しかし、上級の兵士が使う薬は確保され、大切に箱に収められていたのです。

ナイチンゲールは軍医長官に箱を開けるように詰め寄りました。しかし、軍医長官は「軍の決まりです。三週間後の委員会で許可されるまでこの箱は開けられません」と答えると、ナイチンゲールは、箱をゲンコツでたたき割り、「あら、開いたじゃないの」と医療品を取り出したと言います。

ナイチンゲールは、優しい白衣の天使として活躍したと同時に、医療の現場を改革し続けた人でもありました。非効率で不衛生な病院で、ナイチンゲールは率先してトイレ掃除をやり、官僚主義と戦いました。その結果、ロンドンにあったその病院は死亡率が42%から2%にまでさがったと言います。

看護教育にも熱心に取り組んだナイチンゲールは1910年、90歳でこの世を去りました。その時、教え子に囲まれた彼女はこう言ったそうです。「天使とは苦しみあえぐ者のために戦う人のことだ」と。

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