#49 「人を心酔させ翻弄した今太閤」田中角栄

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第49話

田中角栄(1918年〜1993年) 
日本の政治家。第64代・65代内閣総理大臣

田中角栄といえば、昭和を代表する政治家であり、高度経済成長期に総理大臣を務めた人物。日本列島を改造すると息巻いた『日本列島改造論』はブームを巻き起こすと同時に、狂乱物価を引き起こしたとも言われました。また、巧みな戦術で安定した政権を実現し、日本の安定成長期を支えながらも、アメリカの航空機会社ロッキード社への贈収賄事件では逮捕収監されました。

田中角栄は小学校を卒業後、上京して内閣総理大臣にまで登りつめたその立身出世物語と、誰もが思いつかなかったような大風呂敷を広げる言動や清濁併せ呑む行動のダイナミックさから多くの人々を惹きつけました。

「借りた金は忘れるな。貸した金は忘れろ」を持論に人から受けた恩義は決して忘れなかった田中。大蔵大臣に就任した時には「言いたいことがあればいつでも大臣室にくるように。上司の許可は必要ない。すべての責任はこの田中が背負う」と若手官僚に檄を飛ばした田中。そんな田中角栄の周囲にはいつも人がたくさん集まったと言います。

しかし、内閣を総辞職する要因となった田中金脈問題に見られるように、やはりその根本的な政治手腕には多額の金が絡んでいたことは間違いありません。そのユーモアで、キレる頭脳で、そして、人なつっこい笑顔で人を惹きつけ、心酔させ、金の力で強力な派閥を作り上げていく。そんな前時代的とも言える政治手法は破綻すべくして破綻したと言えるでしょう。ただ、だからこそ、いまでも人々の話題に上り、愛され批判され忘れられることがないのだと思います。

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