#68 「歌謡界の女王と呼ばれた昭和の歌姫」美空ひばり

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第68話

美空ひばり(1937年〜1989年)
国民栄誉賞を受賞した歌手、女優

美空ひばりの名前を知らない人はおそらくいないでしょう。2019年の紅白歌合戦には、AIによって復活した美空ひばりが、新曲を歌うという感動的なシーンもありました。昭和の歌謡界で女王と呼ばれ、歌、映画、お芝居と幅広い活躍の後、国民栄誉賞を受賞しました。ひばりの歌は現在でも売れ続けていて、2000年現在で150万枚だった「川の流れのように」は2019年現在205万枚にまで売上を伸ばしています。死後30年以上が経っても人気を誇るひばり。その人気の秘密は、圧倒的な歌のうまさと、姉御肌の度胸だったのかもしれません。

美空ひばりの歌のうまさを伝えるエピソードがあります。デビュー前、まだ9才のひばりがNHKの「素人のど自慢」の予選に出場しました。とてもうまく歌え、合格を確信しましたが鐘がなりません。この時、ひばりは審査員から「子どもらしくない」「ドレスがよくない」と今となれば難癖のような理由で不合格になったのでした。そこで、翌年、ひばりは審査員であった古賀政男のもとを訪れ「歌を聞いて下さい」と直訴。歌を聞いた古賀は「もう歌として完成している。のど自慢に出る段階ではない」とエールを送ったと言います。

また、歌のうまさと度胸を同時に伝えるエピソードとしては、こんな出来事がありました。ある日、財布を持たずにタクシーに乗ってしまったひばり。「美空ひばりですが、友だちからお金を借りてきます」と申し出ました。しかし、化粧をしていなかったため、運転手が信じてくれません。困ったひばりは、「リンゴ追分」を歌いました。すると運転手はすぐに「美空ひばりに間違いない」と感激。「お金も出してもなかなか聴けない歌を生で聴けた」と料金を受け取らなかったそうです。

まだまだエピソードに事欠かない美空ひばりですが、彼女が残した素晴らしい歌の数々はこれからも愛され続けていくことでしょう。

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