#82「ノーベル賞を拒否した実存主義の巨人」ジャン=ポール・サルトル

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第82話

ジャン=ポール・サルトル(1905年〜1980年)
フランスの哲学者・小説家

今を生きている自分自身の存在=実存を中心とした実存主義のなかでも、サルトルは無神論的実存主義と呼ばれています。ものすごく難しそうに聞こえるのですが、誤解を怖れずものすごく簡単に言うと、実存主義とは「人はなんの目的も持たずに生まれてくる」ということなのではないでしょうか。

「人は本質の前に生まれてくる」つまり、なにか目的があって生まれてくるのではなく、生きていることが目的であり、どう生きるかはそれぞれの人間に任されているんだ、とサルトルは説いているようです。

だからこそ、サルトルはノーベル賞を辞退したのでしょう。ノーベル賞をもらうために小説を書いたのではない。何かの権威になるために生きているのではない。そんな思想をきちんと実践していく。そこがサルトルという人の誠実さであり多くの人から愛された所以なのではないでしょうか。

また、サルトルは恋愛に対しても奔放でした。ボーヴォワールというパートナーがいながら、何人もの愛人がいたそうです。しかし、ボーヴォワールとサルトルは時に愛を確かめ合い、時に愛に苦しみながら共に過ごしたといいます。フランスという国の国民性なのか、そんなサルトルの愛に正直な生き様は愛されこそすれ批判されることはなかったようです。

実存主義の巨人、サルトルは1980年、74歳で生涯を閉じました。およそ5万人の人々が集まり、彼の死を弔ったと言います。現在もサルトルの遺体はモンパルナス墓地に内縁の妻であったボーヴォワールと共に埋葬されています。

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