#152「日本の未来を切り拓いた、末っ子気質の英雄」坂本龍馬

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第152話

坂本龍馬(1836年〜1867年)
日本の幕末の志士

日本の近代史はちょっと疎くて、という人でも、坂本龍馬の名前を知らないという人はいないはず。教科書に載っているだけではなく、小説になり、テレビドラマになり、映画になり、舞台になり、銅像が造られ、高知県には県立の記念館まであるのです。そういえば、龍馬が作った「海援隊」と同じ名前のフォークソンググループもありましたね。

龍馬がこれほどまでに愛され、尊敬されているのは、その活躍が日本の新しい時代を連れてきたからこそ。薩摩と長州という仲の悪かった藩に同盟を結ばせ、徳川家を中心とした世の中を終わらせ、天皇家を中心とした朝廷に政権を返還させました。

しかし、龍馬が政治的に動いただけではこれほど後世に英雄として語り継がれなかったかもしれません。そこには龍馬の人間的な魅力があったのです。勝海舟の海軍に興味をもつと、敵にも関わらず話しを聞きに行く。誰もが無理だと諦めるほど仲の悪かった薩長の間を取り持つ。そんな無謀とも言える活躍ができたのは、もしかしたら龍馬が根っからの弟気質だったからかもしれません。

龍馬は5人兄弟の末っ子でした。泣き虫で友だちにもいじめられ、通っていた塾を退学するほどだったのです。そんな龍馬の行く末を案じたのが姉の乙女(おとめ)でした。龍馬が12歳の時に母が亡くなり、乙女は母代わりに龍馬を育てたのです。乙女は当時の女性としてはとても大きく、身長が174センチあったと言われています。体格もがっしりしていて、剣術も学問も優秀だったそうです。そんな乙女に鍛えられて強くなった龍馬は、生涯、乙女には頭が上がらなかったようです。その証拠に現存している龍馬の手紙も乙女宛のものが多く、恋人のことも手紙で乙女に相談しています。

そんな龍馬だからこそ、末っ子気質でみんなから愛され、かわいがられることで日本に夜明けを迎えさせることができたのかもしれません。そう言えば、剣術道場の娘との結婚の約束を破ったこともありましたが、その相手も龍馬を恨むことなく「自分の墓に龍馬の妻と書いてくれ」とだけ頼んだそうです。

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