#153「鉄と血でドイツを統一した強面政治家」オットー・フォン・ビスマルク

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第153話

オットー・フォン・ビスマルク(1815年〜1898年)
ドイツ帝国の初代宰相

ビスマルクは現在のドイツの礎を築いた人物。1847年にプロイセン連合主義会の議員として政界に入りました。当時のドイツは、ドイツ連邦でした。プロイセンを含む大小様々な39ヵ国が参加する国家連合で、議長国は隣国であるオーストリアだったのです。そのためオーストリアとドイツ連邦との間に主権争いが進行し、ビスマルクがプロイセンの首相に任命されてから戦争になりました。ビスマルク率いるドイツ連邦はこれに勝利。プロイセンが主導する北ドイツ連邦を樹立すると、フランスとの戦争にも圧勝し、ドイツ帝国を作り上げました。

ビスマルクは「ドイツの統一は、鉄と血によってのみ達成される」と発言し、戦争を強行するため軍備拡張路線をひた走る強面な政治家と思われていました。しかし、実際には客観的に現状を把握し、必要なところで強権を発令するようなメリハリのきいた政治手腕を発揮していたようです。例えば、フランスとの戦いに勝利したあとは、フランスがドイツに報復できないよう、徹底的な包囲網を敷きました。これはビスマルク体制と呼ばれ、見事にフランスの封じ込めに成功したのです。

ビスマルクが冷徹とも言える判断を下すことができる男だと言うことを伝えるエピソードがあります。それは、若き日のビスマルクが友人と狩りに出かけたときのこと。友人のひとりが川に落ちて溺れかけたのです。他の友人たちは助けに行こうとしましたが、ビスマルクは唯一人、猟銃を溺れている友人に向けたのです。そして、「助けることは出来ない。苦しまないように死なせてあげよう」と言い放ちました。ビスマルクは友人を励ますためにあえて銃を向けたのでしょうか。それとも、他の友人が水難に巻き込まれないように銃を向けたのでしょうか。どちらにしても、ビスマルクの常識を越えた冷徹な思考を見る思いがします。

そんなビスマルクですが、食に関してはとても人間らしく我慢の効かない人だったそうです。目の前にある食べ物はなんでも食べてしまい、医者からは再三注意を受けていました。牡蠣を一度に175コ食べたというのが自慢だったビスマルク。卵も大好きで一度の食事に15コは食べていたと言います。そうそう、半熟卵をピザにのせた料理をビスマルク風というのも彼の卵好きからきています。鉄血宰相と大食漢、という相反するイメージを内包したビスマルク。一体、どんな人だったんでしょうね。実は、エジソンの蓄音機にのこされていたビスマルクの声が2012年に発見されました。詩を朗読したり、歌を歌ったり、鉄血宰相と言われた人とは思えない一面を垣間見せてくれています。

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