#182「悪魔と呼ばれた緻密な頭脳を持つ男」ジョン・フォン・ノイマン

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第182話

ジョン・フォン・ノイマン(1903〜1957年)
ハンガリー出身の数学者

ノイマンは幼い頃から英才教育を受けました。ラテン語とギリシャ語に長け、6歳で父親と古典ギリシャ語でジョークを言い合えたそうです。しかも、語学だけではなく数学にも才能を発揮して、6歳で8ケタのかけ算を行い、8歳で微分積分を理解していたと言います。さらに小説も数多く読破し、ゲーテやディケンズの小説を暗記していたという話もあります。

ノイマンのIQは300あったと言われていますが、アインシュタインも在籍したプリンストン高等研究所の教授陣の中でもその頭脳は桁外れ。「人間のふりをした悪魔」と呼ばれることもあったそうです。そんなノイマンを一躍有名にしたのはコンピュータの開発。彼が開発したコンピュータの基本構成は「ノイマン型コンピュータ」と呼ばれていますが、現在あるコンピュータのほとんどはノイマン型コンピュータです。

さらに彼が後世に名を残した仕事は、原子爆弾の開発です。ナチスドイツの迫害から逃れるためアメリカに移ったノイマンは、ロスアラモス国立研究所顧問として、原子爆弾の開発に着手します。数多くの優秀の頭脳が関わった人類史上最悪な兵器開発ですから、罪悪感に苛まれていた若い学者も多かったそうです。しかし、ノイマンはそんな学者に「我々はいま生きている世界に責任を持つ必要はない」と断言し、彼らを苦悩から解き放ったと言われています。「人間のふりをした悪魔」らしい発言ですね。

天才的な頭脳を駆使して、科学の可能性をとことん突き詰める姿勢、目的のためなら兵器開発も許されるという冷ややかな性格、さらに前述の通り、この世に責任や道徳など存在しないという虚無的な思想が混在したノイマンの性格は、日本への原爆投下という恐ろしい結末に向かって開発を加速させることになりました。

普段は人当たりのいい温厚な人物だったというノイマン。そんな彼の悪魔のような所業を反省しながら、彼が開発したコンピュータで平和な世界を切り拓いていこうではありませんか。

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