#193「愚か者であれ、とジョブスに伝えた理想主義者」バックミンスター・フラー

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第193話

バックミンスター・フラー(1895〜1983)
アメリカの思想家、建築家

フラーは建築家として画期的な発明を次々と考えました。その代表作とも言えるのは、ジオデシック・ドーム。柱を必要とせず、フレームを組み合わせて多面体にすることでシンプルで軽量な、そして強固な建築を可能にしたものでした。しかし、フラーの発明したものは、そのほとんどが実際には生産されず、机上の空論として捉えられていたようです。

その背景にあるのが、フラーの理想主義者的な発言や発想。彼は『宇宙船地球号』など、当時のヒッピー文化に影響を与え、現在のSDGsにつながるような発想を持っていたため、夢見がちな変人として扱われることも多かったようです。『宇宙船地球号』は地球上の資源をしっかりと知り、その有限性や適切な使用について議論する際に、地球をひとつの宇宙船として捉えるという概念。その根底には同じ宇宙船の乗組員である世界中の人々が争っていても仕方がないという平和主義があります。

そこがベトナム戦争で疲弊していたアメリカのムードと相まって、フラーはヒッピーたちのアイコンとなりました。そして、そんなヒッピーたちのなかにAppleの創業者、スティーブ・ジョブズがいました。ジョブズが作ったアップルのCM、『think different』にもフラーは登場しました。

そういえば、ジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの言葉、『Stay hungry,stay foolish.』は『全地球カタログ』という雑誌の最終号に書かれたものでしたが、それはフラーの言葉だったそうです。

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