#197「ゲゲゲの世界を生きた漫画家」水木しげる

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝 第197話

水木しげる(1922〜2015)
妖怪漫画の第一人者

水木しげるは誰もが知っている『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』『河童の三平』などで有名な漫画家です。他にも戦争漫画で多くの名作を残し、世界中の漫画賞や文化賞を受賞しています。彼の漫画はそのほとんどが自身が実際に聞いた話や体験した話をもとにしています。彼は生前のインタビューで「ありもしない話を描いてるんじゃなくて、本当に妖怪はいるんですよ」と語っています。同様に、戦争漫画についても実際に南の島へ従軍したときの体験をもとに描いているのです。だからこそ、彼の漫画には人の気持ちを掴んで離さないユーモアや哀しみが見え隠れするのでしょうね。

水木しげるはその生涯、興味のないことにはとことん興味を持てない人でした。芸術大学に行くにしても、絵を描く以外の科目の勉強には興味がない。興味がないから成績も上がらない。軍隊に行っても上官の指示には従わず、サボってばかりだったようです。ある日、上官から罰として見張りをさせられましたが、あまりに夜空が美しくぼんやり見ているところを敵に襲われ、自分以外の全員が死亡してしまったそうです。命からがら九死に一生を得た水木ですが、さすがにこの時から、虚無的な考え方にとらわれることが多くなったと言います。

また、水木は戦地で爆撃にあいその負傷から左手の切断を余儀なくされました。しかし、水木は配属されていた島の原住民たちと仲良くなるなど、元来の人好きな性格を失うことはありませんでした。敵や味方ではなくみんなが生きている人なんだという水木の人間賛歌は、後に漫画を描くようになっても遺憾なく発揮されているように思います。

水木の代表作となった『ゲゲゲの鬼太郎』は1968年に初めてテレビアニメになりました。そして、その後、1971年、1985年、1996年、2007年、2018年と6シリーズも作られました。また実写映画化も2本。また故郷の鳥取県境港には水木しげるが生み出したキャラクターたちの銅像が100体以上置かれた商店街『水木しげるロード』が1993年にオープンしています。亡くなった後も、漫画やアニメは次々と作られ、水木しげるロードを訪れる人も後を絶ちません。

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