#221「飛べなくなったスーパーマンの生涯」クリストファー・リーブ

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝221話

クリストファー・リーブ(1952〜2004)
アメリカの俳優・映画監督

1978年に公開された『スーパーマン』は世界中で大ヒットしました。アメリカの人気コミック『スーパーマン』はそれまでにも1940年代から50年代に実写映画化されています。しかし、この1978年版は撮影技術や演出などが見事なヒーロー像を生み出したとして絶賛されました。

主演はクリストファー・リーブ。出演当時、24歳だったクリストファーは身長192センチで甘いマスクの好青年でした。そんな彼が『スーパーマン』に出演するためにトレーニングを積み、見事な肉体を作り上げて撮影に臨んだのです。映画は大人から子どもまでが絶賛し、世界中でヒットを記録しました。

クリストファー・リーブは一躍人気スタートなり、『スーパーマン』は第4作まで作られました。他にもテレビや映画などに数多く出演しましたが、彼のフィルモグラフィーは約20年でいったんストップしてしまいます。

42歳の時にクリストファー・リーブは乗馬の競技中に落馬してしまい、頸椎を損傷してしまいます。首から下の間隔がまったくなくなってしまったのです。事態は深刻で、頭部以外は自力で動かすことができず、呼吸も出来なくなってしまいました。人工呼吸のチューブがつけられ、排尿や排便も自分では出来なくなったクリストファーは失意のなかで、妻に「このまま死なせてくれ」と言ったそうです。しかし、妻は「死ぬかどうかはあなたが決めればいい。でも、私は何があってもあなたのそばにいる。あなたは、あなたのままだから」と答えました。クリストファーはこの言葉に救われ、生きる決意をしたそうです。

それからの彼は脊髄損傷者の治療と研究の資金集めのために奔走しました。『クリストファー・リーブ財団』を設立し、集めた資金を寄付したのです。それは、自分が手厚い医療を受け、生き続けることができるのは、大スターとして稼いだ財力があるからだということを十分に理解していたからです。そして、自分を愛してくれている家族という存在がいて、活かされた命ならそれをみんなの未来のために使おうと決意したのです。

落馬事故から約10年。クリストファー・リーブは亡くなりました。しかし、彼の力強い姿はスクリーンの中と、彼の活動に救われた人々の心の中に生き続けています。

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