#224「400本以上の映画を撮り、10セントも損をしなかった男」ロジャー・コーマン

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝224話

ロジャー・コーマン(1926〜)
アメリカの映画プロデューサー・映画監督

映画ファンの間でロジャー・コーマンの名前を知らないものはいないはず。なにしろ、現代のハリウッド映画を支えている名匠や俳優たちの多くがコーマンの元からそのキャリアをスタートさせているのですから。

ジェームズ・キャメロン、ジョー・ダンテ、ジョン・セイルズ、ピーター・ボグダノヴィッチ、ジョナサン・デミ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン、ロバート・デ・ニーロ、マーティン・スコセッシ・フランシス・コッポラ、ロン・ハワード、スティーヴン・スピルバーグなどなど。枚挙に暇がないほどです。

これほど多くの名匠、名優を輩出できたのは、コーマンが低予算映画の可能性を追求し続けたから。組合に加入しているスタッフや俳優は予算的に使えない。そこで、コーマンは、大学を出たばかりのスタッフや俳優を積極的に起用しました。つまり、実際にコーマンが行ったのは、若い情熱を次々と起用しては安く映画を作るということでした。しかし、コーマンには才能を見抜く目があったのです。

しばらくの間、アシスタントとして起用しては、その人物にクリエイティブな才能があるのか、知性があるのか、やり遂げる力があるのかを見抜きました。だからこそ、本来なら使い捨てられるような状況の中で、数々の才能がコーマンの元からキャリアをスタートさせる事になったのです。

そんなことが実現できたのは、コーマン自身も映画監督だったからでしょう。400本を超えるプロデュース作品中、50本の映画を監督しました。そして、徹底した予算管理と斬新な演出と若手の起用によって、自らの著書のタイトルのように『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』を実践してきました。

御年97歳(2023年現在)になったロジャー・コーマン。監督作品こそ作られなくなりましたが、まだまだプロデュース業は継続しているそうです。

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