#225「音楽に革命を起こし獄中で死んだ天才」 フィル・スペクター

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝225話

フィル・スペクター(1939〜2021)
アメリカの音楽プロデューサー

フィル・スペクターは十代から音楽活動を始め、結成したバンドがすぐに全米No.1ヒットを放つほどの才能を見せつけました。しかし、スペクター自身は自らのバンド活動よりも、音楽制作に興味が移りプロデューサーとして活動するようになりました。

ビートルズの『レット・イット・ビー』のプロデュースや『ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード』などのヒット曲はみなさんも耳にしたことがあるはずです。スペクターのアレンジは「ウォール・オブ・サウンド」と称され、まるで音楽の壁が目の前にあるかのような質感が特徴でした。日本でも大瀧詠一が強く影響されています。

天才的な才能を持っている故なのか、1970年代の中ごろから奇行が目立ち始めます。セッション中のラモーンズやジョン・レノンに銃を向けて脅したり、気に入らないマスターテープを勝手に持って帰ったり。ドラッグも常習し、80年代に入るとその名前が聞かれることはなくなりました。

しかし、2003年、衝撃的なニュースが流れます。スペクターの自宅で女優ラナ・クラークソンが射殺され、スペクターは逮捕されたのです。この事件に関して、スペクターは殺人容疑を否認し、後に保釈されたのですが、ドラッグの常習と殺人容疑の再捜査などで刑務所暮らしを余儀なくされました。

そして、2021年には新型コロナウイルス感染によって、スペクターは死去。享年81歳でした。数々の素晴らしい楽曲をプロデュースし、様々な音楽家に影響を与えたスペクター。しかし、その生涯は美しいままではすまなかったようです。

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