#229「人を軸に経営を実践した人」稲盛和夫

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝229話

稲盛和夫(1932〜2022)
日本の実業家

稲盛和夫は鹿児島で生まれました。稲盛は京セラやKDDIを創業。京セラは1.5兆円、KDDIは4.9兆円を売り上げる大企業へと育てあげました。また、JALが倒産した時には、その再建を託され会長に就任。わずか2年8ヵ月で再び上場するまでにV字回復させたのです。

パナソニックの創業者である松下幸之助が経営の神様と呼ばれたように、稲盛は新・経営の神様と呼ばれるようになりました。彼の素晴らしさはいつも人を軸に経営を考えていたことなのではないでしょうか。それは、人を好きになることであり、仕事を好きになること。生まれてはじめて就職した会社で、稲盛はそのことを痛感したそうです。

稲盛が初めて勤めた会社はストばかりしている会社だったそうです。社員がストばかりしているのですから、仕事は進みません。そのため売上も悪く、給与も遅配ばかり。嫌になった稲盛は鬱々とした日々を過ごしていたそうですが、ある日、ふいに溢れた涙を拭いながら、考え方を改めたのです。素晴らしい会社で素晴らしい仕事をしているんだ、と無理矢理に思い込もうとしたのです。

すると、不思議なことに、仕事がどんどん面白くなってきたそうです。通勤時間も惜しんで働くようになると、今度は売上もあがってくる。すると、ちゃんと給与ももらえて責任ある仕事を任されるようになったのです。この経験が稲盛に大きな影響を与えました。

ある時、稲盛は事業を成功させてきた秘訣を聞かれました。彼の答えはこうでした。「たいへん単純なことです。プロジェクトが成功するまで、私はあきらめません。失敗というのは心のあり方なのです」と。さらに「もし、ある方法で成功しなければ、成功するための別の方法を追い求め続けるのです」とも語っています。

2022年8月24日、90歳で亡くなるまで、稲盛和夫は常に日本経済の発展に貢献し、人々が、特に若い人たちに「今日一日を一生懸命に生きさえすれば、未来は開けてくる」と説き続けたのです。

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