#233「一瞬の芝居にすべてを賭けた名優」高倉健

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝233話

高倉健(1931〜2014)
日本の俳優

高倉健は日本を代表する俳優として知られています。裕福な家庭に生まれ育った高倉は教員であった母親の影響か英語にも堪能でアメリカの文化にも親しんでいたといいます。学校を卒業すると、最初は芸能人のマネージャーになるためにプロダクションの面接を受けました。しかし、たまたま居合わせた映画プロデューサーの目にとまり、東映ニューフェイスの第2期生として東映に入社。役者の道を歩み始めました。

アクション映画や喜劇、刑事物や恋愛物など、デビュー当時はさまざまな映画に主演・助演していましたが、どれもヒットには結びつきませんでした。しかし、任侠映画でその魅力が開花。無口で禁欲的な男のイメージを貫いて、任侠映画のスタートして頭角を表しました。

『網走番外地シリーズ』『昭和残侠伝シリーズ』などが大ヒット。また独立してからは『新幹線大爆破』や『八甲田山』『幸せの黄色いハンカチ』など幅広い演技で多くのファンを獲得したのです。

高倉健の魅力は決して手を抜かないことでした。1960年代の任侠映画に出演していた当時はパターン化した演技を求められ、本人もそれを拒んでいたそうですが、それでも現場で手を抜いたことは一度もなかったそうです。

高倉健が演技に打ち込んでいたエピソードとしてよく語られるのは『幸せの黄色いハンカチ』のカツ丼を食べるシーン。このシーンは、刑務所に入っていた主人公が久しぶりのビールを飲み、カツ丼をかき込む場面でした。あまりにも美味しそうにビールを飲みカツ丼を頬張る演技を見た監督の山田洋次は1テイクでOKを出しました。この時、リアルな演技をするために、高倉はまる2日間何も食べていなかったのです。

高倉が出演した映画は生涯で205本。その1本1本に手を抜かなかった高倉は、多くの共演者から慕われ、尊敬され続けたのでした。

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