#234「女性に医学の道を開いた人物」エリザベス・ブラックウェル

非常識人列伝

世界を動かした非常識人列伝234話

エリザベス・ブラックウェル(1821〜1910)
イギリスの医師

エリザベス・ブラックウェルはイギリスで生まれました。しかし、11歳の時に実家の砂糖精製工場が火災で消失し、家族でアメリカへ移りました。エリザベスの家族は敬虔なクエーカー教徒。まだ奴隷制度が盛んだったアメリカでも、奴隷を使わない砂糖の精製所を開設したそうです。しかし、エリザベスの父は渡米後、約3ヶ月で病死。エリザベスはそれ以降、医師を目指して勉強を始めました。

さらに、奴隷解放運動にも参加。女性運動家として活動しながら、医師としての勉強を続けたのです。そして、ニューヨークのジニーヴァ医科大学に入学を認められ1849年に学位を取得して、卒業を果たしました。しかし、アメリカの病院では採用が叶わず、フランス・パリの産婦人科で修行をしました。ただし、ここでも医師としては採用されず、助産婦としての訓練しか受けられなかったそうです。それだけ、当時は女性に対する差別が厳しかったのです。

さらにエリザベスに不幸が訪れます。パリに行っている間に病気で右目の視力を失ってしまい、外科医としての道を閉ざされてしまったのです。しかし、それでもエリザベスは諦めませんでした。アメリカ・マンハッタンで、妹とともに貧しい女性と子どものための診療所を開設。南北戦争中は看護婦を数多く養成し、南北戦争後は女性のための医学校の設立にも尽力したのです。

そして、医師としての学位を取得して約10年。ついにイギリスで初めての女性医師としての登録がなされました。人種差別、女性差別に負けることなく、自分自身の可能性と、多くの人々の未来を切り拓いたエリザベス。1910年に亡くなった彼女は、スコットランド西部のホーリーロッホに埋葬されています。

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