世界を動かした非常識人列伝244話
斎藤道三(1494〜1556)
美濃国を収めた戦国大名
戦国の武将・斎藤道三は成り上がりの武将として知られています。その出生については諸説あるのですが、京都で生まれたという説が有力だそうです。11歳で京都妙覚寺の僧侶となりましたが、のちに還俗して油を売り歩く油商人となりました。
この頃から、道三の人心掌握術は長けていました。たとえば、油を売る時も一文銭を用意して、口上を述べたそうです。「さてお立ち会い。これから油を注ぎますが、漏斗は使いませぬ。手にした一文銭の小さな穴を通して見せまする。油がこぼれたら、お題はいただきません」。そういうと、道三はたら〜りたらりと油を注ぐのです。このパフォーマンスがうけて、行商は大成功しました。
商人として成功した道三ですが、ある日、通りすがりの武士から「一文銭の穴を通す技は素晴らしいが、所詮、商人の技だ。これだけの力があるなら武芸に長けた立派な武士になれるのに」と言われたのです。これに一念発起した道三は商売を辞めて、武芸を極めました。そして、見事、美濃国の長井長弘の家臣となったのです。
その後の道三は下剋上を繰り返し、美濃国を乗っ取り、青葉城に収まりました。しかし、戦国時代とは言え、情け無用の下剋上を繰り返し、娘を信長に嫁がせるなどの政略結婚を画策する道三自身は家臣からの人望をまったく得ていませんでした。やがて、家督相続の道から外された息子・義龍によって1556年に討死したのでした。享年63歳。戦国時代の典型的な下剋上大名として成り上がり、それゆえに討たれた人生でした。