#48 「有機ELディスプレイは真空の中で作られる」

真空にヒントあり

家電販売店のテレビ売り場で、最近目立つように展示されている有機ELを使用したテレビ。みなさんは、従来の液晶テレビと有機ELディスプレイを使用したテレビの違いをご存じでしょうか。

液晶テレビは画面を発光させるために、背後から光をあてるバックライトを配置する必要があります。しかし、有機ELディスプレイの場合は、自ら光る物質を利用して作られています。そのため、バックライトを配置する必要がなく、液晶テレビよりもさらに薄いテレビを作ることが可能です。

また、薄さだけではなく消費電力やより広い角度から試聴できるなど、液晶よりもメリットが多いと言われています。そんな有機ELディスプレイの製造工程ですが、実は半分以上の工程が真空状態で行われています。

映像を映し出す膜が有機物であるため放電を用いる従来の製造方法では膜が変質してしまうのです。そこで、真空状態の中で膜となる材料を加熱蒸発させる真空蒸着という技術を使うのです。しかも、膜を形成するところ、形成してはいけないところをすべて真空中でマスクを変えながら、膜を多層にも形成します。液晶の場合は膜を形成したあとは取りだして加工するのですが、有機ELディスプレイの場合は大変複雑な工程を全て真空中で行います。

第48話「有機ELディスプレイは真空の中で作られる」
タイトルとURLをコピーしました