#60 「自動車のドアミラーも知らないうちに進化しています。」

真空にヒントあり

自動車の安全運転に欠かせないドアミラーや室内のバックミラー。これらのミラーはアルミなどの明るい色の金属を使用すると幻惑などを起こしますので、少し重たい感じのクロム使用しています。クロムは高融点のため真空蒸着は適さないので、スパッタリングという技術を用いています。

スパッタリングを簡単に説明すると、ドアミラーの材料に粒子化した膜素材を衝突させ薄膜を形成する技術。蒸着に比べると膜厚を緻密に制御することができ、膜の密着力が強いという利点があり自動車には最適な技術です。

しかし、長年使用されてきた真空技術によるドアミラーもいずれ過去のものになるかもしれません。というのも、2016年に道路運送車両の保安基準が改正になり電子ミラーの導入が正式に認められたからです。電子ミラーはまだ一般的ではありませんが、車のサイドに設置されたカメラでより死角なく安全に運転ができるという装置。この電子ミラーが普及すれば、「サイドミラーってなに?」という時代がくるかもしれません。

それでも、真空技術が長年、人々の安全を支えてきたという事実は消えません。また、時代が変わっても真空の新しい可能性が多くの人々の役に立つはずです。このコラムでは、これからも世の中を力強く支えている真空技術をご紹介していきます。

#60 「自動車のドアミラーも知らないうちに進化しています。」
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