#106「実はけっこう昔から行われていた真空で省エネ!」

真空にヒントあり

災害が起こるたびに声高に喧伝されるのが省エネです。東日本大震災のときにも原発が津波により発電できなくなったことで、普段からの省エネが叫ばれるようになりました。ここで大切なことは、エネルギーの消費を抑えることだけではありません。火力や原子力以外のエネルギーを活用することも大切です。

そんな時に注目されるのは太陽光。元手がかからず、自然の恵みとして降り注ぐ太陽光をエネルギーに変える、という取り組みは古くから行われてきました。みなさんもよくご存じのものだと太陽光発電がありますね。屋根の上に太陽発電のパネルを置き、太陽光で発電された電力を使うというシステムです。しかし、実はそのもっと前から太陽光を利用した省エネシステムがあります。それがヒートパイプ式の太陽熱温水器。電力を発電するという高度な利用法ではありませんが、シンプルに太陽光で温水を作り出すというシステムなので、1970年代から広く使われてきました。

ヒートパイプ式太陽熱温水器は、魔法瓶のような二重構造のガラス管のなかにヒートパイプというものが入っています。ガラス管の内面には三層の集熱膜があり、これが太陽の熱であたためられると発熱して、ヒートパイプに熱が伝わります。一度、ヒートパイプに伝わった熱は二重構造のガラス管のおかげで逃げません。こうして熱を持ったヒートパイプの先を貯湯タンクに差し込むことで、タンクの中の水が加熱されるのです。

このシステムがあれば一年中、温かい水を使うことができます。ふと見上げた屋根の上に黒いパイプが並んでいたら「ああ、ここのお宅は自然に優しいんだな」なんて微笑ましい気持ちになれるかもしれませんね。

106「実はけっこう昔から行われていた真空で省エネ!」
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