#152「仰げば尊し、わが筒のポン!」

真空にヒントあり

3月は卒業式のシーズンです。コロナ禍ではリモートによる卒業式や、代表者だけを集めた分散卒業式など、様々な工夫がなされています。それでも、時には優しく時には厳しく学んだ学び舎をあとにする改まった気持ちは格別なものがあるはずです。

そして、そんな気持ちを一層強くしてくれるのが卒業証書。「そんなの受け取ったのは、随分昔だなあ」という人でもあの時の緊張感は覚えていますよね。そして、ほとんどの人が思い出とともにあの黒い筒のなかに卒業証書を大事に保管しているはず。あの筒、正式名称は「賞状筒」と言います。そう言えば、静かな卒業式の会場で不用意に筒を開けようとして、「ポンッ!」と大きな音を立てて恥ずかしい思いをした、という人もいるかも知れませんね。

あの、「ポンッ!」という音は、どうして発生するのかご存じですか。実は、筒のふたを開けようとすると、筒の先端のふたをはめ込む白い部分が出てきますよね。あの白い部分が終わってふたが開いてしまうギリギリのところまでで止めると、筒のなかの容積が25%ほど大きくなります。つまり、その分だけなかの気圧が減圧され真空状態になるのです。そんな状態からふたが開くと筒の中に空気が飛び込み、中の空気と混じり合い振動して「ポンッ!」という音がします。ちなみに、筒の直径が狭いと高い音、広いと「ボーン」という低い音になります。

卒業式のあの「ポンッ!」というちょっと恥ずかしい音の思い出も、実は真空とともにあったんですね。

152「仰げば尊し、わが筒のポン!」
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