#153「真空で救われる人の命」

真空にヒントあり

このコラムでは、真空がどれほど私たちの生活を支えてくれているのかを伝えてきました。でも今日は真空が生活を支えるだけではなく、実は命を支えているのだということをご紹介します。

例えば、あなたが生まれる時にも真空が役に立っていたかもしれません。お産は新しい命が生まれるという嬉しい出来事ですが、同時に無事に生まれるかどうかという心配がつきもの。時にはうまく出てくることができない場合だってあるのです。そんな時、吸引器が登場します。ゴムのような素材でできた小さなカップを赤ちゃんの頭に吸着させます。そして、お母さんがいきむタイミングに合わせてそっと引き上げるのです。この吸着はカップの中を真空にすることで実現しています。

また、病気をしたり、歳を重ねたりして痰が多くなることがあります。これをうまく排出できないと呼吸困難になって命の危険にさらされることも。そんな時にも真空を利用した医療用吸引器が登場します。つまり、自分で痰を排出できない時に、真空の力で取り除くのです。この吸引器のおかげで多くの人が呼吸を楽にすることができ、肺炎などの感染症を予防することができています。

最近では小型の吸引器も数多く開発され、訪問介護の現場で活躍しています。持ち運びに便利な上に、患者の負担も最低限に抑えることが出来る。医療用吸引器は紹介しきれないほど数多くのシーンで活用されています。出産から高齢者の医療現場まで、生まれてからずっと私たちの命に寄りそってくれる真空技術。そんな真空に少しでも興味をもっていただけたら嬉しいです。

153「真空で救われる人の命」
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