#157「人の生死の境目に真空技術!」

真空にヒントあり

いきなり質問させてください。人はどうやって生きていると思いますか?もちろん、いろんな臓器があり、それぞれがちゃんと機能して初めて人間は元気に生きていると言えます。でも、最後の最後、心臓が動いているかどうかが大きなポイントですよね。ドラマや映画でもよく出てきますが、人の生死を確かめるためには腕や首に指をあてて脈拍を確かめてみたりします。血液が送り出されているかどうか。つまり、心臓が動いているかどうかが生死の分かれ目なのです。

この心臓という身体の器官はポンプのような役割を担っています。絶えず収縮を繰り返して、血液を循環させる動きは真空ポンプと同じです。実際に、真空ポンプと同じ構造で補助人工心臓は作られています。日本では1969年に人体による臨床応用が始まりました。もちろん、補助人工心臓は年々進化を遂げ、現在でも研究開発が続いています。

もともと人工心臓の開発が活発になった背景には、アメリカでの心不全による死亡率の高さがありました。その解決には心臓移植が有効とされています。心臓移植が必要な患者は世界中に10万人いると言われています。しかし、実際に移植手術を受けられた患者はその3割ほど。心臓疾患のある患者にとって移植手術は重い負荷があり、一般的ではないのです。

そこで半永久的に心臓の代わりと努めてくれる補助人工心臓が開発されたのです。補助人工心臓は小型で体内に埋め込むことが可能。耐久性にも優れています。ヨーロッパでは既に使用が認められ、臨床実験では1つのポンプによって人工心臓が7年半にわたって使用できた例もあります。ポータブルバッテリーを使用することによって、この患者は普通の生活を送ることができ、ゴルフや登山も楽しんだそうです。もっともっと補助人工心臓が普及する日がくると嬉しいですね。

157「人の生死の境目に真空技術!」
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