#181 「MRIをより効率よく使用するための真空技術。」

真空にヒントあり

MRIをご存じでしょうか。腫瘍の発生などが疑われる場合に、病巣があると思われる身体の部位をMRIにかけて、その位置や大きさを特定します。簡単に言うと、身体を特定周波数の電波で輪切りにして、身体全体の状態を映像化するというもの。身体を大きな丸い円筒のなかにいれるのですが、この円筒は巨大な磁石。物質を電磁石の中に置いて、特定周波数の電波を照射するとその中の水素原子がみんな同じ方向を向きます。そして、電波を切ると、各組織の水素原子は元に戻ります。しかし、病巣などによって元に戻る速さが違っているので、これを映像化するとレントゲン写真のような画像ができるのです。

MRIはとても便利で正確です。MRIの誕生によって医療は飛躍的に進歩しました。しかし、MRIで病巣の位置を確認したら、なるべく早く手術を施さなければ正確な位置を確認した意味がなくなります。ですから、MRIで検査をしたら、すぐにでも手術をしたいと医師は望みます。そこで、ある医大では手術室にMRIを設置したそうです。これなら、MRI検査をした直後に手術をすることが可能になりますね。

しかし、ここにMRIの欠点が。それは音が大きいということです。MRIは磁石に通電するたびに色々な周波数の大きな磁場を掛けるためにコイルが振動し、更に取り巻く空気の振動で音が発生してしまうのです。つまり、せっかく正確な情報を用いて手術しようとしても、MRIが稼働していると、手術室には巨大な音が鳴り響いてしまうのです。そこで、メーカーはMRIのコイルを真空の中に入れてしまう構造を導入。音が伝わる確率を90%もカットすることに成功しました。これで、安心して手術に取り組むことができますね。

181 「MRIをより効率よく使用するための真空技術。」
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