#193「あなたのTシャツも真空で印刷されているかもしれません。」

真空にヒントあり

印刷にはどれくらいの種類があるか知っていますか? 大きくわけるとオフセット印刷、活版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷の4種類。オフセット印刷は大量に印刷される書籍や雑誌などに使われます。オフセットというのは印刷に使うハンコのようなもの。これにインクをつけて紙に転写します。活版印刷は最も歴史のある印刷方法。印刷される部分が凸型になっているので凸版(とっぱん)印刷と呼ばれます。グラビア印刷は印刷のハンコ部分を金属製の版にして、しかも凹んだ部分にインクをのせて紙に転写して印刷します。

さて、残ったスクリーン印刷に真空が役立っているのです。スクリーン印刷はもともとシルクスクリーン印刷と呼ばれていた技術で、絹布(スクリーン)に小さな穴をあけて、その穴を通して、インクを押し出して転写する技術です。現在では絹布ではなく化学繊維やステンレスの極細メッシュのスクリーンを使うことが主流になりました。

具体的な手順は、まずスクリーンマスクを作ります。化学繊維のスクリーンに感光剤を塗布して乾燥させます。ここに印刷する画像などを焼き付けるのですが、ここで真空技術が登場します。真空焼き枠という設備を使うのです。要するにガラス板とゴムシートの間にスクリーンと原画となる版を挟み、この隙間を真空で密着させ、露光することにより鮮明な画像を生み出すための現像装置です。

印刷する時は紙の上にスクリーンマスクを置き上からインクをスキージーと呼ばれるヘラで塗ることによりスクリーンの感光した穴を通ってインクが紙に転写されます。謄写版と同じです。

このスクリーン印刷はスクリーンが柔らかいので、紙だけではなく布やガラスへの印刷にも適しています。あなたのお気に入りのTシャツの絵柄も真空技術を利用したスクリーン印刷かもしれませんね。

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