#212「真空で広がるスクリーン印刷のフィールド。」

真空にヒントあり

印刷と聞くと、紙の本やカレンダーなどの印刷物が浮かんでくると思います。でも、印刷の技術が進化することによって、すでに様々な分野で応用されているのです。なかでもスクリーン印刷は、あなたがこのコラムを読んでいるPCやスマホにも必ず使われている半導体のパッケージや電子部品、布、プラスチック、金属、ガラスなど、様々な素材への印刷に使用されています。その仕組みを簡単に説明すると、文字や画像等を穴のあいたスクリーン状のフィルムにインクをのせて、それをヘラで反対側に押し出してインクを素材に付ける、という印刷方法です。

紙なら、相手がインクを吸い込んでくれるので、インクに多少の気泡があっても問題はないのですが、プラスチックや金属、ガラスなどに印刷する場合は少しの気泡も許されません。例えば、有機ELディスプレイにシール印刷をする場合や、先ほどご紹介した半導体の基板への印刷など、精密さを求められる印刷には真空印刷が登場します。

気泡のできかたは一定ではありません。つまり、印刷後に気泡を抜くというやり方ではインクの量が不安定になってしまいます。そこで、印刷機全体を囲い、その中を真空状態にして印刷することで気泡をなくした安定した印刷を行うことが可能になるのです。美しさを競う印刷技術としても、科学技術の核となる電子部品の印刷技術としても、真空印刷は重要な働きをしています。

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