#35 「缶詰は真空でできている、と一言でいっても…」

真空にヒントあり

缶詰は中の空気を抜いて密閉したあと、加熱殺菌をして、食品を長期間保存できるようにするために生まれた技術です。

これで既に真空に関わりがあることはご理解いただけたと思います。今回はこれだけで終わり?と思った皆さん。いえいえ、最近ではドライパック製法と呼ばれるさらに真空と関わりの深い技術が登場しているようです。

一般的に缶詰は液汁に浸かっているイメージがありますが、このドライパック製法は缶内に液汁を入れません。加えたとしてもほんの少しです。

内部を通常よりも高い真空状態(800ヘクトパスカル程度)にすることで、缶詰のなかの沸点が下がり、中身の具が元々持っていた水分から水蒸気を早く発生させることができます。そしてこの水蒸気を利用して効率的な加熱殺菌をすることで品質のいい製品が製造出来るのです。ドライパック製法にむいている食材は、調味液をあまり必要としないもの。具体的には焼き魚、ひじきなどの最初から調理された惣菜類の缶詰が中心だそうです。他にも、大豆やコーンなど、野菜の缶詰にも向いているようですね。

大きなサイズの缶詰だと真空の力で缶が押しつぶされたりして、凹むことがあるので、この製法では小型の缶で商品化されることがほとんど。いままでの缶詰に比べて、風味が失われず、おいしく仕上がるそうです。缶詰は真空技術でできている、と言っても幅が広いのですね。ぜひ一度、食べ比べてみてはいかがでしょうか。

第35話「缶詰は真空でできている、と一言でいっても…」
タイトルとURLをコピーしました