#31 「コーヒーの香りは真空パックできません」

真空にヒントあり

このコラムでも、食品を真空パックするメリットについては何度もお伝えしてきました。では、逆に真空パックできない食品はないのだろうか、というお話をしたいと思います。

実はコーヒー豆は真空パックに適さないと言われています。どうしてだかわかりますか?もしかしたら、コーヒーが好きだ、という人のほうが疑問に思うのではないでしょうか。コーヒーの命は香り。だとしたら、真空パックしたほうが香りも逃げなくていいんじゃないの?と思いますね。

その香りに大きく関わる焙煎が問題なのです。焙煎はコーヒーにとって最も大切な工程。苦みや酸味といったコーヒーの風味を決定づけるものです。焙煎直後のコーヒー豆はコーヒー特有の香りを含んだ炭酸ガスを大量に発生するため、これを真空パックするとその炭酸ガスで袋がパンパンに膨らんでしまいます。場合によっては破裂することもありますから、コーヒー豆に真空パックは向かないのです。

あれ?でも、うちの近所のスーパーには真空パックっぽい豆が置いてあったような気がするぞ、というみなさん。なかなか鋭い観察眼です。でも、もっと鋭く観察してみてください。おそらく、そのパッケージには穴が空いていて、そこに透明なシールが貼ってあると思います。実は、そのシールは炭酸ガスだけを通す特殊なプラスチックフィルム。外の空気は入らずに、炭酸ガスだけが外に排出することで、うまくパッケージされているのです。

食品をおいしいまま家庭に届けるためにパッケージは日々進化しています。でも、パッケージするものによってはなかなか難しいというお話。もしかしたら、真空のうまい活用でもっといいパッケージが生まれてくるかもしれませんね。

第31話「コーヒーの香りは真空パックできません」
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